国家公務員総合職試験の流れ

そろそろ就職活動が今年も始まる。公務員試験を勉強している人の選択肢の一つである国総。国総試験の半年前ということで受験生の応援、または今から公務員目指す人のためにも、今回は簡単に国家公務員総合職試験の流れについて思い出しながら書いていく。ただし私が受けたのが技術系寄りの区分の話なので、受ける区分によっては違う箇所があるかもしれないので注意して欲しい。(下記画像:人事院採用情報NAVIより引用)

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人事院試験(①マーク,②筆記&面接&政策論文)官庁訪問(各省庁面接)

基本的な試験の流れは上記のようになっており、この流れに沿って説明をしていく。

 

人事院試験」

一次試験(マーク試験)と、二次試験(筆記試験と面接)がある。

  • 一次試験 (マーク試験)

 教養試験40問と専門試験40問があって、それぞれに設けられた足切り点を突破さえすればいい。受験して思ったのが受験生の圧倒的な陰キャ率くらいで、そこまで足切りがバカみたいに勉強しなきゃ届かないというわけでもないが、毎年結構な数が蹴落とされる。席次を気にしなければここはボーダーさえ突破すれば十分合格できる。ただし試験の範囲自体はとても広いので浅く広い対策が求められる。

 

  • 二次試験 (筆記試験&政策論文&面接)

 足切りクリアした人だけがたどり着ける。総合職試験が難しいと噂されるのはおそらくこの二次筆記試験である。難易度的には学期末試験のさらにワンランク上をいくレベルだ。全公務員試験の中で最高難度を誇るこの試験では、うまい突破口を見つけるか、一次試験前からしこしこ勉強するでないと中々厳しい。(ただしここではTOEIC高得点持ってれば、総合スコアに加算されるので英語が得意な人は一つのアドバンテージ) 最難関といえども一次試験でボーダーギリギリでも半分も得点すればパスすればいいので、そこまで絶望的というわけでもない。

 試験自体は筆記試験で、数ある大門のうちから3題を自分で選択し、白紙に論述または計算式を書き込んでいくシステム。1次試験から大体一ヶ月後にこの試験があるわけだが、大門ごとに分野が異なるため的を絞った対策が立てやすい。一次で足切りギリギリの得点でも5~6割くらい取れれば受かる。

 ちなみに筆記試験と同じ日に政策論文が課される。意外に配点は高いが、文字数と題意をおおむね取り違えてなければ平均的な点数は取れるだろう。
 このあとに控えるのが面接(人事院面接)であるが、割とテンプレ質問しかされないザル試験である。よほど人間性に問題ない限り弾かれることはないし、コミュニケーション能力が不通にあればまず落ちない。大学院生は面接ではなくグループで政策討論が課される。評価はABCDEで1:2:4:2:1の評価分布なため、ほとんどがCかB評価に落ち着くが、この面接は配点が高いので要注意。ちなみにEをとったら筆記試験がいくら素晴らしくても落ちます。

 

一次試験と二次試験のスコアを以って、ある一定以上の総合スコアであれば最終合格。ただしスコアの配分は重みが異なり面接や筆記試験は係数が大きい。合格者には上から順番に「席次」と呼ばれる合格順位が割り振られ、受ける官庁によってはこの順位がモロに採用に響くケースもある。

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試験の配点比率はこのようになっている。(詳細
 申し込みからここまでで区分と年度によるが倍率は約10~20倍くらいだ。予備校で1年ほどかけて勉強するのが一般的なようだが区分によっては、2カ月くらいやれば十分に受かるとこもある。大学ごとの合格者数は以下に貼っておこう。上位4校が占める割合がほとんどだということがわかるが、ここ最近には国立大だけでなく中堅私大もランキングに食い込んでくるようになった。(画像:マイナビジョン

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官庁訪問

 官庁訪問という18日ほどの期間が設けられ、最大3省庁に訪れて面接することができる。第1~第5タームまで存在し、第5タームで内々定で与えられるため実質、第3第4タームが山場である。

 中には朝9時から夜11時まで拘束するような省庁もあるため、3省庁訪れるのは相当体力的にキツく、1省庁あたりの対策も手薄になってしまうので個人的には、2省庁に絞ることをおすすめしたい。事前にきちんとした対策が打ててるという余裕があるのであれば頑張って3省庁目指そう。
 順調に勝ち抜いてきた曹操たる参加者と一緒に面接する。旧帝国大学の名前がずらり、かつ大学院生なんてザラ。私大の学部生(笑)なんかが紛れ込んだら,フリーザが言い放った『私の戦闘力は53万です』をはじめて目の当たりにした並の戦慄を覚えること間違いなし。

 しかもこぞって皆本気なのだ、関西圏に多いが、地方から来た人たちは官庁訪問に旅費交通費合わせて30万もかかることもありハンパない意気込みだ。しかも民間の内々定が出そろってくる時期のあとに官庁訪問があるため、これを失敗すると己の就職活動に後がない背水の陣の受験者もしばしば見られる。


 省庁によって違うが、1タームごとに何度も面接することになる。(ちなみに地方公務員はせいぜい一回か二回程度で内定まで至ってしまう) 人事担当とのコンタクトを軸に人事課長や部長と、各局の歴の積んだ人から比較的若い職員まで様々な人と面接する。拘束時間も長いし個人面接・集団面接・グループワーク・グループディスカッションなんでもありだ。

 相手は現職キャリア官僚であり指摘も鋭いため、生半可な気持ちで官庁訪問したら、周りは予想以上にガチだし、ただただ帰りたくなるし己の掲げる政策の甘さに恥ずかしめを受けて、半泣き状態にされるのがオチだ。しかしながらこの官庁訪問を見事勝ち抜いた人間は、民間だろうが大企業に内定もらえる実力はあるだろうし、たとえ落ちても相当面接スキルはブラッシュアップされるだろう。

 拙いアドバイスだが、くれぐれも面接練習は疎かにしないこと。面接は慣れで確実にうまくなる。大学のキャリセンだけでなく民間就活で実践的な面接も交えつつ慣れておくことはとても大事。人事としては、コミュニケーション能力は一緒に働く上でないよりは確実にある人のほうが採りたいと思うものだ。席次が上位でも容赦なく落とされるため、とにかく己を知り相手を知ることで、人事が欲しい人材像に近づけるはずです。